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2022年4月28日

干し芋の白い粉の正体は何? カビとの見分け方は?

干し芋の表面に、白い粉が吹いているのを見かけますが、この正体をご存知でしょうか?
食べる時に、「この白っぽいのは何?」と疑問に思ったことがある方も少なくはないと思います。

カビと勘違いして不安になる方もいるかもしれませんが、この白い粉は、実は干し芋になくてはならない糖分です。

今回の記事ではその白い粉の正体を詳しく説明。また、カビとの見分け方についても分かりやすく解説していきたいと思います。

干し芋の白い粉の正体、白粉とは

干し芋の白い粉の正体、白粉とは

干し芋には、表面に白い粉が付いているものがあります。
この白い粉は白粉(シロコ)と呼ばれ、麦芽糖(マルトース)が結晶化した糖分になります。

原材料のさつまいもの状態や加工時期、干し芋になってからの保管状況により白い粉の出方はさまざまです。
干し芋の先端や真ん中に集中的に発生するものや、全体に白粉が吹くものなどがあります。

質感としては、ツブツブの結晶化しているものや、サラっとした粉状のものが白粉の可能性が高いと思われます。

干し芋によって白粉の多さに違いがあるのは、原料となるさつまいもの出来や収穫状況、干し芋に加工する時期や糖度の違い、また商品の保存環境の気温の変化などが原因と思われます。

長年干し芋を生産している中で、品種や切り方で白粉の出方の違いはあまり感じたことはありません。その年々の原料となるさつまいもの出来や、糖化が進んでいる・いないなどで白粉の出方が変わるように感じています。

白粉は麦芽糖が結晶化したものになるため、舐めてみるとほんのり優しい甘さを感じます。白粉が出るということは、糖分が高い証拠と思っても良いでしょう。

糖の結晶はもともと無色透明なものですが、結晶が細かくなると光の乱反射が生じやすくなり、白く見えます。
干し芋を長い間保存すると干し芋の乾燥が進み、表面の白粉は次第に増えていきます。

いずれにせよ、干し芋の白粉は人間に害がなく、安心して食べられるものになります。

麦芽糖(マルトース)とは?

白粉の正体でもある麦芽糖は、原料のさつまいもに含まれているデンプンが長期保存されることや蒸されることによって糖に変わったものになります。

ちなみに、干し芋には麦芽糖のほかにもショ糖(スクロース)、果糖(フルクトース)、ブドウ糖(グルコース)の全部で4つの糖分が含まれています。
干し芋のあの独特な甘みは、これらが混ざり合って生まれていると考えられています。

また、干しいもの表面に光沢したツヤのある状態のものもありますが、これも麦芽糖とショ糖が水分を保ったまま干し芋の表面をコーティングしているからです。この状態をガラス化と呼びます。

※干し芋に加工する時期や原料となるさつま芋の状態によって、上記のツヤがあるもの・ないものと個体差がございます。

干し芋の黒っぽい部分は何?

上の写真にもあるように、干し芋には白い粉だけでなく、黒っぽい部分があることがあります。
こちらはさつまいもに含まれるポリフェノール成分や糖化の現象によって黒褐色になったもの。

さつまいものポリフェノールは主にクロロゲン酸です。
さつまいもをカットしたときに緑に変色しているのを見かけますが、これもこのクロロゲン酸の仕業です。
空気中の酸素に触れて酸化して変色が起こります。

抗酸化作用があるともいわれ、食べてもまったく問題はありません。

干し芋の白い粉とカビの見分け方

干し芋の白い粉とカビの見分け方

干し芋の白い粉とカビの見分け方

近年、消費者の間でしっとりしたやわらかい干し芋が好まれる傾向となり、なるべく白粉が出ないように乾燥させ過ぎない製品を製造する様に心がけています。そのせいもあり、見慣れない白い粉をカビと思い込んで捨ててしまうという方も増えているようです。

実際、我々のような干し芋の製造や販売をおこなう会社に寄せられるお申し出の中には「これはカビではないか?」といった声も。
幸田商店でもお問合せをいただいた際は干し芋の現状を詳しくお尋ねして、粉状ものではないか、綿毛状(虫の繭)のようなフワフワしたものかを確認させていただき、きちんとご説明させていただいています。

では、カビとの見分け方について具体的に説明していきましょう。

基本的に干し芋にカビが生える場合には、青カビや茶カビ、赤カビなどが多いようです。
色が付いているとひと目で分かるので、上の写真のように色のついた斑点があればカビということが分かります。

ただし、厄介なのはカビのなかには白い色をしたものもあるということ。
白い干し芋は白粉だから安心と前章でご紹介しましたが、この場合の見分け方としては、白いカビは綿毛状の(虫の繭のような)フワフワとした円形のコロニー状になります。
白い部分がフワフワしていないか、干し芋の表面をよくチェックしてみてください。

また、匂いもカビ臭くなるので、あやしいとおもったら匂いも一つの判断基準にしてみてください。

現在の干し芋はしっとりしたものがお客様に好まれるため、水分値が高くしっとり・ネットリ食感に仕上がるように加工をしているものが多くなっています。そのため、開封後はカビが発生するリスクが高くなっています。
開封後はなるべく早目に食べるか、冷凍保管をするのがベストだと言えるでしょう。

一つ前の記事で干し芋の適切な保存方法をご紹介しているので、こちらも参考にしてみてください。

●関連記事:「冷蔵や冷凍もできる? 干し芋のおすすめ保存方法

干し芋にカビが生えてしまったら

干し芋にカビが生えてしまったら

カビの見分け方をご紹介しましたが、一部にカビが生えている場合、「その部分だけ取り除いたら食べても大丈夫?」と思う方がいるかもしれませんが、カビは胞子です。

たとえカビが生えているのが一か所であっても、それはカビ全体の氷山の一角。
カビから発生したカビ菌や、菌糸と呼ばれるカビで干し芋全体が汚染されている場合があります。

また、そのカビ菌を口にすると吐き気や腹痛を起こしてしまう可能性も。
人体に悪影響を及ぼすことがあるので、くれぐれも口にするのはやめておきましょう。
もったいないと思う方もいるかもしれませんが、少しでもカビが生えたら破棄するようにしてください。

干し芋を美味しく安全に食べるためにも、まずはカビを生えさせないことが一番です。
開封してからは、なるべく早めに食べきることを心がけましょう。

素材を活かしたものづくりで健康と食の豊かさをお届け

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