HAPPY FOOD COLUMNさつまいも

2023年12月14日

焼き芋は消化に良い?悪い?消化にかかる時間や食べるべきタイミングとは

焼き芋は消化に良い?悪い?消化にかかる時間や食べるべきタイミングとは

焼き芋は消化が悪い食べ物として知られていますが、一方で、さつまいもは離乳食や介護食などでも使用されていますし、実際のところ、体の中でどのような消化吸収が行われているのか不思議ですよね。

そこで今回は、「焼き芋は消化が良いの?悪いの?」という疑問にお答えしています。また、焼き芋に含まれている成分や働きに注目し、焼き芋を食べるのに適したタイミング・適さないタイミングについても解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。

焼き芋は消化が良い?悪い?

結論からお伝えすると、焼き芋は消化に良い食べ物であるとは言えません。なぜなら、さつまいもは、水に溶けない不溶性食物繊維を豊富に含んでいるからです。

この不溶性食物繊維は、小腸で消化・吸収されずに大腸まで達する食品成分だと定義付けされています(※)。大腸は水分やミネラルを吸収する消化器官ですので、大腸まで到達した食物繊維は、消化・吸収されることなく便の材料となります。

一般的にさつまいもの消化にかかる時間は約60分と言われていますが、食物繊維など一部の成分に関しては、消化されるどころかそのまま便となりますので、「消化が悪い食品」として分類されているのです。

※【出典】食物繊維の必要性と健康|厚生労働省e-ヘルスネット

そもそも消化が良いとは?

そもそも消化が良いとは、どういった状態なのでしょうか?

「消化が良い」というのは、小腸での吸収速度が速いことを意味します。そして、小腸で吸収されやすい形状のものを「消化が良い食べ物」と表現します。

よく、体調が悪い時に消化が良いものを食べるようにと言われますが、この理由は、消化器官に負担をかけることなくエネルギーや栄養素が摂取できるからです。

たとえば、うどんやお粥のような繊維質や脂肪分が少ない食品は消化が良いものです。反対に、さつまいもなどの食物繊維を多く含む食材や、牛肉などの脂質を多く含む食材は、消化に時間がかかるか、消化されずに排泄される成分を含むため、消化が悪い食べ物と分類されています。

【焼き芋】消化に時間がかかる理由と原因

次に、焼き芋が消化に時間がかかる理由と原因についてご紹介していきます。

焼き芋の消化①:食物繊維を豊富に含むから

焼き芋の消化に時間がかかる理由の1つ目は、先ほどからお伝えしている通り、食物繊維が豊富に含まれている点があげられます。

食物繊維は「ヒトの消化酵素で分解されない食物中の総体」と定義されている食品成分です。本来、タンパク質や糖質といった栄養素は小腸で吸収されるのですが、食物繊維は小腸で吸収されず、そのほとんどが大腸まで到達します。

そして食物繊維には、水に溶けてドロドロになる水溶性食物繊維と、水に溶けない不溶性食物繊維の2種類あり、焼き芋にはその両方が含まれていて、特に不溶性食物繊維の含有量が多いという特徴があります。

まず、水溶性食物繊維の効果についてですが、食物繊維自身が水に溶けてドロドロになるだけでなく、一緒に食べたものの粘性を高めますので、食事全体の消化・吸収を緩やかにし、血糖値の急上昇・急降下を抑制する働きがあります。

一方、不溶性食物繊維は、他の栄養素が吸収される際の物理的な壁となって、消化・吸収を緩やかにし、血糖値の急上昇・急降下を抑えてくれる働きがあります。さらに、水分を吸収して膨らむことで便のかさを増加させ、大腸を刺激して排便を促す作用もあります。

とはいえ、さつまいもの中には、シルクスイートや紅こまちのような繊維が少なめの品種も存在します。胃腸に負担をかけずに焼き芋を楽しみたい方は、こういった滑らかな舌触りが特徴の品種を選ぶと良いでしょう。

焼き芋の消化②:充分に熟成されていないから

焼き芋の消化に時間がかかる理由の2つ目は、充分に熟成されていない可能性があげられます。

さつまいもは熟成によって消化スピードが速まると言われています。さつまいもにおける熟成とは糖化熟成のことで、デンプンが糖化して甘みが増す現象を指します。この一連の流れを追熟と呼び、掘り出した後に1〜2ヶ月かけて一定の温度と湿度で保管する必要があります。

自宅で焼き芋を作る際に「甘くないしパサパサしていた」と感じる場合は、さつまいもが充分に糖化熟成されていなかった可能性が考えられます。そのため、焼き芋の消化スピードが気になる方は、新聞紙などにくるんで、風通しの良い場所で最低でも2週間ほど追熟させてから調理してみると良いでしょう。

特に胃腸が弱い方は、熟したさつまいもを使った焼き芋を購入することもおすすめです。

焼き芋の消化③:冷えている焼き芋を食べたから

焼き芋の消化に時間がかかる理由の3つ目として、焼き芋が冷えていたという可能性があります。

さつまいもを加熱して冷やすと、デンプンが老化して「レジスタントスターチ(難消化性でんぷん)」という成分が増加します。このレジスタントスターチは、小腸でほぼ吸収されないまま大腸に到達するため、他の栄養素の吸収を抑制して血糖値の上昇を緩やかにする効果が期待できるのです。

さらに、レジスタントスターチは善玉菌のエサとなって腸内環境を改善したり、不溶性食物繊維のように便のかさを増加して排泄を促進する作用もあります。

このような理由から、お通じを改善したい方やダイエットがしたい方はむしろ冷やして食べるのが良いと言えますが、消化のことを考えると熱々のうちに食べるのが良いと言えるでしょう。

焼き芋は避けた方が良いタイミング

ご紹介した通り焼き芋は消化しにくい食品ですから、体調が悪い時や、胃腸の調子が悪い時は避けるべきです。

また、焼き芋に含まれる食物繊維は腸の動きを活発化させ、さらに分解される際に二酸化炭素などのガスが発生するため、お腹の張りが気になる日や、おならを出したくない日は、控えた方が良いと言えます。

反対に消化が良い食べ物の特徴は、繊維や脂質が少ないものです。炭水化物であれば先にご紹介したうどんやお粥の他にも、食パンや雑炊、白米なども消化が速い食事となっています。また、タンパク質であれば赤身肉や白身魚、ささみ、豆腐といった脂質が低いものを選びましょう。

加えて、熟したバナナや、よくすり潰したりんご、お味噌汁も、効率良く栄養素を摂取したい時におすすめです。

もし、どうしても焼き芋が食べたいという時は、焼き芋をミキサーにかけてペースト状にしたり、さらに牛乳などで溶いてスープにすれば、胃腸への負担がぐっと下がります。さつまいもは免疫力を高めるビタミンCを豊富に含んでいますので、回復状況を見ながら少量ずつ取り入れてみてください。

焼き芋を食べるのにおすすめのタイミング

さつまいも「紅はるか」の糖度を解説!甘さの理由や見分け方は?

最後に、焼き芋を食べるのにおすすめのタイミングについて見ていきましょう。

便秘でつらい時

焼き芋には、さつまいも特有のヤラピンという成分が含まれています。このヤラピンは生のさつまいもを切った時に出てくる乳白色の液体で、便を柔らかくしてくれたり、腸の動きをよくする作用を持っています。

ヤラピンは皮と実の間に多く存在していますので、便秘でつらい時は、ぜひ焼き芋を皮付きのまま食べてみてください。

さらに、焼き芋を冷ませばレジスタントスターチが増加。食物繊維・ヤラピン・レジスタントスターチの相乗効果で、便秘改善が期待できるでしょう。

ただし、早く改善したいからと言って食べ過ぎると、かえって便秘が悪化したり、下痢になってしまう恐れがあります。厚生労働省では、食物繊維の1日あたりの目標量を18〜64歳で男性21g以上、女性18g以上と定めており(※1)、理想量は24g程度だとされています。

焼き芋100gあたりの食物繊維量は3.5g、1本あたり(200〜300g)で7〜10.5gとなります。つまり、1日1本で1日の目標摂取量のおよそ半分に到達することに。他の食事内容との兼ね合いを考えると、まるまる1本食べてしまうと、食物繊維を過剰摂取する恐れがあります。

お腹の膨張感や、便秘の悪化を避けたいのであれば、小ぶりな焼き芋を選んだり、大きい場合は半分程度に留めておくなどして、様子を見てみるのがおすすめです。

※1【出典】食物繊維の必要性と健康|厚生労働省e-ヘルスネット
※2【出典】日本食品標準成分表2020年版(八訂)|文部科学省

ダイエットしたい時

焼き芋は消化に時間がかかりますが、逆に言えば、腹持ちが良いということです。

この性質を活かして、1日のうち1食分の主食を焼き芋に変える「焼き芋ダイエット」が近年話題になっています。具体的には、朝食時の食パンを焼き芋に変えたり、夕食時の白ご飯を焼き芋に変えるといった方法です。

焼き芋ダイエットのメリットは、腹持ちが良いため間食の回数が減り、ダイエット中にありがちな甘い食べ物への欲求が満たされる点にあります。さらに、焼き芋には健康や美容の維持に欠かせない栄養素を含んでいますので、ダイエット中やボディメイク中の栄養補給にも重宝されています。

ただし、甘い焼き芋ほど糖質の量が多くなるため、食べ過ぎには注意が必要。また、さつまいも自体のGI値は低いですが、焼きたてはGI値が高くなります。血糖値が急上昇しないように、しっかりと冷やしてから食べるのがポイントです。

なお、焼き芋ダイエットについては「焼き芋ダイエットは痩せる?成功のコツは食べ方にあり!」で詳しく解説していますので、ぜひ参考にご覧ください。

焼き芋の消化時間は遅いがメリットにもなる

今回は、焼き芋の消化時間についてご紹介しました。

焼き芋は消化スピードが遅いので、体調が悪い時や胃腸の調子が良くない時は避けた方が良いですが、一方で、便秘解消やダイエット時の強い味方となります。

とは言え、焼き芋をミキサーにかけたり裏ごしすれば消化されやすい状態になるため、離乳食や介護食などにも使用できますし、体調不良時の栄養補給にもなるでしょう。

また、ダイエットや便秘解消であれば、焼き芋でなく「干し芋」もおすすめです。干し芋なら持ち運びしやすく、食べる量も調整しやすいので、小腹が空いた時のおやつにピッタリです。また、焼き芋より低GI値なのも嬉しいポイント。

ライフスタイルに合わせて、焼き芋と干し芋を取り入れてみてくださいね。

幸田商店の「しあわせほしいも」はこちら>
人気の紅はるかだけでなく、シルクスイートやほしこがね、泉(いずみ)、玉豊(たまゆたか)といった品種を取り扱っています。さつまいもの食べ比べも楽しんでみてください。

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素材を活かしたものづくりで健康と食の豊かさをお届け

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海風が吹き、元気な土壌で育てられる茨城県の農作物たち。
さつまいものみを原材料にした干し芋を中心に、幸田商店では自然の恵みを活かした伝統のものづくりをしています。

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